―――To the children of an inheritance - 遺産の子達へ―――
――― stage-0 A new tale is begun ―――
とある国のとある場所
剣を胸に抱き、眠る男が一人
そこに朝の暖かな木漏れ日が差し込み、男の顔を照らした
「ん…――――」
その光に目を覚まし、男はグッと背を伸ばす
はぁ―――と吐き出される息は白い
それもその筈
辺りは白く、草木は雪化粧をしている
「今日も良い天気だ…」
差し込んでいた日の光に手を翳しながら空を見上げ―――
抱いていた剣は左に
そして漆黒の銃を右に、男は立ち上がった
「今日は何だか良い事がありそうだ」
フッと男は笑い、下を見る
燻っている焚き木に雪をかけると、安そうな毛布を鞄に仕舞い身支度を整えた
「さて、行こうか―――何かを求めに―――」
そして男は歩き出す
光差す森の奥へ
―――運命の舞台上へ―――
―――時の歯車は回りだす―――
それはゆっくりとゆっくりと回り出す
『 旧時代の幕切れ 』
その時に、今の人類は全てを失う
人の歴史は終わり、また始まった
生きる人々は徐々にだが行動の幅を広げ
段々と、かつての世界の様に――生きる場所を広げて行く
そして、その先で手に入れるのは友愛、厄災、名誉
そして―――
《遺産》
かつて栄えた世界の残滓
世界の残り香
―――《幻想遺産》―――
『 熾天の羽 』
『 煉獄の業火 』
『 星空の小箱 』
『 最終快楽 』
それらは、魔道の力を秘めた―――究極の結晶
―――《機械遺産》―――
『 魔道銃 』
『 機械仕掛けの殺戮者 』
『 ブレードワイヤー 』
『 アズラエル 』
それらは魔を技術に―――進化させた力の結晶
それら二つの種類の物を、総じて
《遺産》
と、呼んだ
これは、そんな世界の物語
【 灼陽貴 】と呼ばれた青年と
【 白銀の天使 】と呼ばれた少女の物語
舞台は――――
―――開幕する―――