――― To the children of an INHERITANCE - 遺産の子達へ ―――
――― stage-7 Distance to of his death - 終焉までの道のり ―――





























epilogue- 過去には哀悼の意識を



































祐一の、長い昔話が終わった
冬華もプルートーも、真剣に今まで聞き続けてくれた
視線を、冬華へと合わせる

「祐一さん…」
「…うん…」
「私は…貴方の事を知りませんでした」
「うん…」

冬華の視線には悲しみは無い
ほんの数ヶ月。その間で、冬華は強くなったと思う
身体も、そして心も
冬華の瞳には、優しさと、そして信念だけがある
自分の愛する少女の姿
焚き火の炎に照らされた顔、その艶やかな唇が言霊を刻む

「私にも悲しみがあった。そして、貴方にも悲しみはあった」
「………」
「貴方は私の精神に根付く傷を癒してくれている。だったら、又は―――その逆もあるんだと、私は思います」

冬華の言葉は甘かった
そして、それは否定する事は決して出来ない告知
互いに互いを必要とする―――宣誓

―――誓約―――

「私は、貴方の傍に居ます」
「………」
「限りある命が尽きる、その時まで」

そして笑う
綺麗な笑みだと、素直に思う
そして自分は幸せなのだと、そう思える
プルートーはそっぽを向きながらも、こちらを気にしていた
それに、笑みを深めた

嘗て亡くした物があった
とっても大事な物、とっても大事な者
亡くしたのは剣と、それも持つ意識
亡くしたのは多くの命と、大事な人、そして父―――

祐一は左の瞼を撫でる様に触れた
その左眼球には託された意識が、未だ完全には目覚めず眠っている
父が遺してくれた秘奥
彼が刻み続けた力の歴史が、この左眼には宿っているのだ

祐一は左の瞼を開く
両黒瞳ではあるが、僅かに左眼だけが紅い瞳を
北川が渡してくれた意識は、今確かにここに在る

全ての散っていった命を収め続けた瞳
大事な人の死を見つめた瞳
父から託された瞳で―――
祐一は北に伸びる街道を見つめた
かつて自分が暮らした北の大地を
自分が死んだ場所を
自分が生まれた場所を

「帰って来たんだ…ここまで」

全てに決着をつけよう
過去の遺恨に
自分の弱さを取り戻す為に
そして、銀の髪の少女の横を歩いて行ける様に

明日の夜には、シャイグレイスに入る










――― stage-7 Distance to of his death - 終焉までの道のり ―――

―END―













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